12月21日、がん対策推進協議会が開かれました。(関連記事はこちら「がん対策推進協議会開催~どうなる日本のがん事情~」)
第63回となる、今回のがん対策推進協議会では何が話し合われたのでしょうか。
詳しい情報は厚生労働省のホームページに掲載されていますが、わかりやすく要点をピックアップしていきます。
第63回がん対策推進協議会の議題はこれ!
前回の第62回がん対策推進協議会では、
・がんの予防、がん検診
・がんに関する相談支援、情報提供
・がんの教育及び普及と啓発
について話し合われましたが、今回の議題は主に
・がん対策推進基本計画の見直しについて
・次期計画の全体目標について
これら2つについて話し合いが行われました。
がん対策推進基本計画の見直しについて
それでは、がん対策推進基本計画のどこに見直しがかかったのでしょうか。
具体的には以下の3つです。
・緩和ケアについて
・障害のあるがん患者さんへの対策について
・がん患者さんの自殺について
です。
緩和ケアの重要性は、これまでわたしも述べてきましたが(こちらの記事も参考に「緩和ケアが充実すると良いことだらけ?」)、今回の話し合いの中でも緩和ケアの現状と今後の方針が議論されました。
・緩和ケアに関する教育の推進
・小児・AYA世代の緩和ケアの充実およびがん以外の疾患における緩和ケア
現状では緩和ケアの質に関する基準などがなく、施設ごとによって提供できるケアにも差がありますよね。
そこに焦点があてられたことで、今後は緩和ケアの基準や指標をもとに体制が整うのではないかとわたしも期待しています。
障害のあるがん患者さんへの対策については、
「障害のある者では、がんに関する正確な情報が伝わらず、治療が遅れるケースもあることが指摘されており、適切な方法によりがん医療に関する情報を提供することにより、障害のある者の意思決定を支援していくとともに、がん検診等の検査をより円滑に受けることができる体制を整備することが必要である。」
と話し合われています。確かに、障害のあるがん患者さんへの教育は難しいですよね。国を挙げて、体制を整える必要性も感じます。
実際、わたしも巡回健診で障害を抱えた人たちの施設へ行ったことがあります。
しかし、通常の健診よりもかなり大変で、人手も時間もかかるというのが実情です。
検査に対する理解ができないと、拒否へとつながってしまうので難しさはあるでしょう。
しかし、早期にがんを発見できれば治療も早い段階でできるので、上手く健診へと結び付けられるよう対策を講じられることを期待しています。
また、病棟で知的障害のあるがん患者さんを受け持ったこともありますが、やはり難しさを感じたというのが本音です。
きっと、全国の病院で同じように悩んでいる医療者も多いでしょう。
・障害のあるがん患者さんが適切な情報提供を受けて意思決定するため、実態を把握して整備を進めていく必要がある
がん患者さんの自殺については、日本における実態はまだ把握しきれていないという現状があり、調査が必要だと話し合われました。
ちなみに、海外の文献では自殺率は一般人口の約2倍でがんと診断されてから1年以内に自殺することが多いというデータがあります。
人種や文化の違いなども考慮すると、やはり日本においても調査を推し進め、同時に対策を考えなければいけないでしょう。
「がんは治る時代」とも言われますが、進行してからがんが見つかった場合など希望を持てないと思ってしまう患者さんも多くいるのが現状です。
がん検診の推進と精密検査率の向上、こころのケアや緩和ケアの体制が整えば、このような問題も減るのではないでしょうか。
次期計画の全体目標について
さて、今行われている第2期がん対策推進基本計画の全体目標は、
1.がんによる死亡者の減少 (75歳未満年齢調整死亡率の20%減少)
2.全てのがん患者とその家族の苦痛の軽減と療養生活の質の維持向上
3.がんになっても安心して暮らせる社会の構築
と掲げられていました。
そして、次期計画については、
1.がんによる死亡者の減少とともにライフステージに応じた医療の提供
2.全てのがん患者とその家族の苦痛の軽減と療養生活の質の維持向上
3.がんになっても安心して暮らせる社会の構築
を2017年度から10年間全体目標として設定すると話されました。
第2期の目標とほとんど同じようにも見えますが、変わったのはライフステージに応じた医療の提供という部分ですね。
そのためにはがん対策推進基本計画の見直しを図り、各都道府県それから医療機関とともに策を講じていけたら良いですね。
また、今後の話し合いに注目していきたいと思います。
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