先日、岡山大学で発見された「心臓の穴を塞ぐと片頭痛に効果がある」というニュース、こういう話は何となく世間でも話題になりやすくていいですね。
このニュースで初めて知ったのですが、心臓の左側、右側に穴が開いている状態、欠損症というのは胎児~赤ちゃん時代には、普通に起きていることなんですね。長じるにつれ塞がるそうですが、たまに塞がらないケースがあるようです。
ちなみに、はっきり開くケースは心房中隔欠損症という病気ですが、これも心室中隔欠損症とは違い、大きくなるまで、全く何も起こらず、自覚がないことも多いようですね。成人してから、それまでスポーツをしていた人がいきなり心臓疾患の指摘をされるのはこのケースのようです。
病気というのは、片頭痛のように症状があるけど、あまり解決法が無いケースと、病名が先行しているケースの2つがあります。片頭痛はその典型例かもしれません。筆者は子供の頃から片頭痛持ち、大人になってから症状はマイルドになりましたが、子供の頃は本当に目の前に星が飛んでいたのですが、診察の結果、片頭痛だろうということで、頭痛薬レベルのまま過ごしていますが、目の前に星が飛ぶ頭痛というのは症状としてはかなりすごいのではないか、と思います。
そしてこういう病気の扱いがどこで変わるのかというと、やはり「生命の危機」ですね。しかし、死なないからと言って「頭が割れそうで、星が飛ぶ」のは我慢してください、というのは、何やら妙な話です。また逆に軽い高脂血症で、何も困ってはいないが、通院して薬をもらっている人もいます。考えようによっては不思議な話ですよね。検査という存在がなければまず起こりえない事態です。この検査のおかげで予防医学ができ、ある程度病気が防げるようになってきた・・はずですが、予防の効果の具体的なデータってあまり見ませんね。喫煙の健康被害データなどがそれに近いような気もしますが。
このような考えになってきた理由は、まず病名が最優先されるという点にあると思います。高脂血症は、色々な病気を招く危険性があるということで、メタボ健診で改善することとされていますよね。「片頭痛」は放っておけばよいという病名なので、スルーされているわけです。しかし、基本的に体の異常というのは何かの信号ですよね。頭が痛くて耐えられないというのは、明らかに本人の暮らしに支障をきたしますし、生活するうえでまずいことが起きているということは、やはり注意信号なわけで、命に関わらずとも問題視してもいいと思うのです。
「片頭痛」の研究をしてくれた岡山大学、万歳・・ですが、日常で困る健康被害っていろいろありますよね。頭痛、胃痛、下痢、肩こりなどなど。腰痛のように、人数が多くまた原因が特定できない、しかしかなりのケースが心因性であることが解ってきた、という例もあります。肩こりも一応理屈は解りますが、解決法~特に現代のようにIT機器を多く使う場合、解りやすい解決法はありませんね。
しかし、この誰にでもある症状を追求していけば、何か盲点になっている原因が出てきたりしないものでしょうか。心因性腰痛は盲点の1つでしたし、最近では腸内環境は脳に影響するというのもそうですね。「普通すぎる健康上の不満」というのは、口に出す人があまりいません。当たり前になっていますし、臨床でもそのように聞かれてしまう気がします。
しかし、この「当たり前的不定愁訴」には、病気を解明するヒントや、生活の質をより向上させるヒントがあるように思うのです。病院は病気を作る場所などと揶揄されることがありますが、医学の進歩により検査技術が向上し始めたころは、解りやすい予防や早期発見によるメリットがあったのでしょう。
ところが、現代ではどうでもいいものが発見されると面倒が起きる、ということで、検診を回避されることもありますね。この判断は医療関係者であっても、難しい所ですが、本人にメリットが感じられない医療行為の多さがこの考えの後押しをしている気がしてなりません。その結果検診を回避することで、本当に発見できた方がいい病気が無視されている可能性もあるでしょう。
本来、病院というのは「調子が悪い」という理由で行くのであって、重箱の隅をつついて病気を発見されたり、はたまた病院に行っても片頭痛も腰痛も治らないというのは、治療ではなく診断を仰ぎに行っているようなものですね。いっそ診断専門病院というのがあってもいいと思うのですが。救急医の過酷労働問題=現場離れ=人手不足がありますが、診断と治療のラインを分けると、多少医療関係者の人のやりくりも楽になるのではないでしょうか。
それはさておき、片頭痛のようにありがちだが困るという病気に焦点を当ててもらえるのはありがたいですね。難病治療の方法発見も喜ばしいですが、身近な病気の研究が増えれば、もっと病院に関心をもってもらえるかもしれません。とはいえ・・風邪で病院にすぐ来る人は減った方がいいと思うのですけどね。
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