11月24日、「第62回 がん対策推進協議会」が開催されました。
一言で「がん対策推進協議会」と言われてもなかなかピンとこないですよね。
日本のがん対策は5年を1単位としていて、次は2017年度に第三期計画に入ります。
つまり、来年日本のがん対策は節目を迎えているのです。
そこで、「がん対策推進基本計画」の見直しに向けて議論されており、その内容が明らかになりました。
ちなみに、厚生労働省のページにも載っているので、詳しく知りたいという方は見てみてください。
日本のがん対策
それでは、日本のがん対策についておさらいしておきましょう。
昭和37年 国立がんセンター設置
昭和56年 悪性新生物が死亡原因の第一位になる
昭和59年 対がん10カ年総合戦略(~平成5年)
平成6年 がん克服新10カ年戦略(~平成15年)
平成16年 第三次対がん10カ年総合戦略(~平成25年)
平成17年5月 がん対策推進本部 設置
平成18年4月 がん対策推進室 設置
平成18年6月 がん対策基本法 成立
平成19年4月 がん対策基本法 施行、がん対策推進協議会 設置
平成19年6月 がん対策推進基本計画 策定
平成24年6月 がん対策推進基本計画(第二期) 策定
平成27年12月 がん対策加速化プラン(厚生労働省ホームページより)
昭和56年にがんが日本の死亡原因の第一位となってから、日本では様々な戦略が講じられてきました。
そして、現在は「がん対策推進基本計画」を施行しており、「がん対策推進協議会」で意見交換が行われているのです。
普段あまり実感する機会はありませんが、厚生労働省のもとこのような計画がなされているんですね。
「第62回 がん対策推進協議会」で話し合われた内容とは
それでは、今回の「第62回 がん対策推進協議会」ではどのような意見交換が行われたのでしょうか。
テーマ
・がんの予防、がん検診
・がんに関する相談支援および情報提供
・がんの教育、普及啓発
協議会ではこの3つのテーマに基づいて議論が進められました。
日本にがん検診受診率は、平成25年で37.9~43.4%。しかし、目標は平成28年までに50%を掲げていました。
日本のがん検診受診率については、以前にも取り上げましたが低いですよね。
今回の協議会の中でも、目標をさらに高い位置に設定する方向で話し合いがなされました。
今のところ目標を達成できていないので、さらなる改革が求められそうです。
一方、がん検診の在り方そのものについても議論がなされました。
どういったものかというと、科学的根拠に基づかないがん検診が「過剰診断」を生じているのではないかというものです。
「過剰診断」、つまりがん検診を受けることによって、メリットよりもデメリットが生じている可能性があるということです。
がん検診でがんが見つかれば治療をします。若い人ならその後の未来がありますが、高齢者にがんが見つかっても、それが果たして良いことか?ということです。
治療を受けるだけの体力が残っていないような場合もありますよね。そのような高齢者ががん検診を受けるということ自体、意味のないことかもしれません。
むしろ、がんの可能性を伝えることで苦痛を与える方が大きいでしょう。
一方、直接生存率に関与しないがんについても同様です。
これらのことを考慮し、リスクごとに線引きをすべきかどうかも検討されています。
その他、下記について話し合われました。
・市町村における「検診受診手続きの簡素化」「効率的な受診勧奨方法の検討」「対象者の網羅的な名簿管理に基づく個別の受診勧奨・再勧奨」「かかりつけ医からの受診勧奨」などを勧めるべきではないか
・がん教育や職員に対するがん検診のさらなる普及啓発
・精密検査受診率の目標値を90%にする
・職域におけるがん検診のガイドラインを策定することで、各自が任意でがん検診を受けられるようにする
・がん予防の啓発(たばこ、肝炎の対策)
・がん教育、食生活改善の啓発
・子宮頸がん予防ワクチン(HPV)の摂取勧奨を再開すべきかどうか
・拠点病院以外の医療機関から相談支援センターへのつなげ方
・外来のニーズへの対応
・情報検索システムの構築
・・・話し合わなければいけない内容は山積みですね。
がんによる死亡率低下を目標にする一方、医療費やサポートの問題にも直面します。
国民ひとりひとりの健康を守るためには、知識の普及も大切ですし、がんになってから安心して暮らしていけるためのシステムも見直さなければいけません。
なお、次回のがん対策推進協議会では、「緩和ケア」や「目標値」について話し合われる予定です。
そして、年が明けると第3期計画に向けて案をまとめた上で、6月に閣議決定されます。これからのがん対策は、最終的に国としてどういった指針を打ち出してくるのでしょう。今、新しいがん治療も話題となっていますが(以前の記事も参考に)、がんにおびえることなく、健康寿命が延びていく未来は来るのでしょうか。
そのとき、医療は・・・
来年の国の動きに注目です。
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