晩婚に伴う出生率の低下と平均寿命の伸長の結果、現在の日本は高齢化社会です。
一方、家族形態も変化しています。おじいちゃん・おばあちゃんと一緒に暮らすような大家族という形から、夫婦と子供世代の核家族化が増えてきました。高齢者が病気になった時、昔は、大家族なので家族みんなで看護をしました。ところが、現在は、小家族のため、病人を家族だけで看護することは、非常に負担になります。そのような問題を解決するために「老人看護専門看護師」という専門看護師がいます。
高齢者の多くは、慢性疾患を持っています。さらに、、高齢者の病気は、複数の病気にかかり易く合併症を起こしやすいとう特徴を持っています。また、高齢になればなるほど、認知症、嚥下障害や排せつ障害などの症状も出てきます。「療養上の日常生活の世話」を基本とする今の看護では、疾患などを視点にケアをします。そのため、高齢者の人権というものが疎かになっていました。老人の看護においても個々の症状や状況によって求められる看護のニーズは異なります。
ニーズに合わせた看護を提供するには、卓越した看護実践能力が必須となります。そこで医療現場において需要が高まっているのが「老人看護専門看護師」です。「老人看護専門看護師」は、高齢者の健康維持・予防の促進、高齢者特有の疾患に対する支援を目的とした認定資格です。「老人看護専門看護師」には、高齢者の意思を尊重して人権を守り、その人らしく生きていけるように看護態勢を整える責務もあります。そのため、高齢の患者さんだけでなく家族もフォローします。家族に正しい看護の知識や認識ができれば、介護者の精神的負担を減らすことが可能と考えられているためです。
「老人看護専門看護師」の活動によって、高齢化社会で問題になっている介護疲れや無理心中、または、高齢者に対する人権の侵害といったものが解決されていくと期待されています。「老人看護専門看護師」の登録数は、極めて少ないのが現状です。けれど、医学的視点から高齢者の人権を守る「老人看護専門看護師」は、今後、需要の出てくる人材ではないでしょうか。
関連資格:認知症看護認定看護師|慢性呼吸器疾患看護認定看護師|皮膚・排泄ケア看護認定看護師|緩和ケア看護認定看護師|接触・嚥下障害看護認定看護師