女性は、ライフステージにより、身体的・精神的・社会的に激しく変化します。その理由は、女性が母性という特性を備えているためです。母性は、体内で胎児を育て、出産し、育てるという母親としての機能です。
ところが、晩婚化に伴う少子化、近所付き合いの希薄などから、女性が、出産・子育てするための母としての自覚や自信を持つことは難しくなっています。そこで、母となるための人生の過程における、身体的・精神的・社会的特徴の理解とケアを提供する必要が出てきました。「母性看護専門看護師」は、女性の様々なライフステージでの問題をケアしいく専門看護師です。妊娠・分娩・出産は、短時間のうちに状況が変化するため、女性にかかる身体的・精神的負担は非常に大きくなります。そのため、「母性看護専門看護師」は、主に周産期における分娩の援助、緊急時の対応、母子のプライマリーケアなどを主な活動としています。
一方、母性は女性の生涯に関わるため、思春期における適正な性教育、若年妊娠の予防のための指導、成熟期における母性の形成発展の援助、更年期障害対策など、ライフステージにおける女性の健康への援助も行います。「母性看護専門看護師」は、周産期での活動を主としているため、助産師の方がなる場合が多いようです。もちろん、看護師の方もなることは可能です。看護師免許だけの場合、保健師助産師看護師法により、単独で助産行為はできません。対して、助産師免許を有していれば、同法により、医師の指示なく助産行為ができるという違いがあります。
母性看護は、母性という特性を有する女性の生涯に関わるため、さまざまな社会環境に対応する必要があると考えられています。そういった面から、助産が単独で行えるかどうかよりも、母性看護の領域における豊富な専門知識と高い技術を身につけていることの方が重要となってきます。
少子化や人間関係の希薄という状況で、女性が母としての自覚や自信をもつための援助を専門看護師からしてもらうことは、貴重なこととなります。そういった意味から、「母性看護専門看護師」のニーズはこれから高まっていくのではないでしょうか。
関連資格:助産師
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