血管を怒張させて、良い血管を見つけたらいよいよ針の挿入!
ここが一番緊張しますよね。
■針を入れる前にすべきこと
針を入れる前に大切なこと。それは、環境を整えることです。
・腕の向き、伸展具合
・物品の位置(すべて手の届くところに置いているか)
環境を整える上でのポイントは、看護師が針を入れやすいことと患者さんの安全安楽です。
どちらが欠けても針の挿入に支障がでます。
血管が良く出ていても腕が曲がった状態や針を入れにくい腕の向きでは、失敗の可能性が高くなりますから、声をかけながら患者さんの体勢を整えましょう。また、患者さんにとって無理な体勢を強いることで、針を入れている途中で動いてしまう危険性も。針を抜くまでは動かないでいられる体勢で行いましょう。
■針の入れ方に囚われてはいけない?
血管注射の基本的な針の挿入方法は、各マニュアル、教科書などに
「穿刺角度は15度~30度、逆血があってから少し針をすすめる」と記載されていますよね。
しかし、実際にはいろいろな血管があり、適した挿入方法、患者さんの状態によって変わってきます。
基本は確実に押さえますが、囚われすぎてもいけません。
■皮膚の伸展による血管の固定
針を入れるとき、皮膚を軽く伸展させ、血管が逃げないよう固定しますよね。
この固定にもポイントがあります。
皮下脂肪が程良くある腕では、皮膚をそれほど進展させなくても血管は逃げにくく、痩せ型の高齢者など皮下脂肪がない腕では、しっかり押さえておかないと逃げられます。
また、肘部、手背、前腕などの部位によって伸展する力加減、伸展の仕方を変えると固定しやすくなりますよ。
例えば、肘部でまっすぐに通っている血管では、単に針を持つ手と反対の親指で手前に軽く皮膚を押さえ伸展させるだけで良い場合が多いです。しかし、手背のように皮膚がよれやすい部分や、皮下脂肪の少ない患者さんの前腕などでは、人差し指と親指で左右に皮膚を伸展させると上手くいく場合もあります。