高齢者の薬物療法ガイドライン

a0800_0006794月1日付の老年医学会が「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」を作成というニュース。

睡眠薬や精神科系の薬も結構混ざっており・・というものですが、これって臨床の場合、言われなくても使っているうちに気付かなかったのかな?という気もしなくもないですよね。けれど、このガイドライン自体、過去の治療データなどを参考にしていると思われるので、「ある程度の失敗、体験談」は当然織り込まれているだろうと思います。

不遇な目に遭われた方には気の毒ですが、医療の進歩にはどうしてもこういうことがつきもの、いい方向に進んでいると思います。また、このブログで「今後は医療関係者と患者は対等であるべきだ」というようなことを書いていますが、このガイドラインはHPで公表されているので、医療を受ける側の勉強になるという意味でもいいですよね。

しかし、ここでふと思うことは、今の高齢者世代の方々は「学がある、ない」が半々みたいな世代ですよね。また皆さんが、家族に恵まれているとも限りませんし、そもそも高齢になると理解力はどうしても落ちてしまいます。つまり、情報提供されていても、当事者が役に立つように利用できない可能性はあります。

患者の理解力に合わせて、選択を提供したり、情報を咀嚼して伝えたりという専門看護師は急速に必要になってくるでしょう。そして、高齢者の医療には、かなり特殊な問題があります。精神科系の薬にNGが多いのは、せん妄や徘徊が起きたり、また思わぬ行動を取る確率も増え、患者さんの身の危険に関わるからですが、極端な話、高齢の患者さんの中には「最期は頭ぶつけて死んでもいいので、安定剤を多く飲んで平和な気持ちで日常を過ごしたい」と思う人もいると思うのです。

時々、病の最大の要素は「老化」である、という表現を聞きます。老いていくというのは、新陳代謝が衰え、筋力が無くなり内臓の働きが弱まり、動脈硬化が進み、心筋梗塞、脳梗塞が増えるということ、認知症ももちろんそうです。でも、これらの病気って高齢者の場合、完ぺきに回避しなければいけないことなんでしょうか?「多少それらのリスクがあってもいいので、おいしいものを食べてのんびりしたい。」という意見を否定できるでしょうか。都合のいい時だけ病院を利用するのは、病気予防に励む人を思えばフェアではない気はします。

また高齢者の場合、「病気は仕方ないけど、周りに迷惑をかけるのが嫌だねえ」と言う人はとても多いです。つまり、多少病気を抱えのんびりする程度ならいいけど、その分家族が大変になるのはノー、と、認知症予備軍の方などは思うでしょう。「健康」とは心身に不備が無いこと、だと思われていますが、それはそんなに大事なことでしょうか。時々このブログにも書いておりますが、健康志向が強すぎて、そうでない人が疎外されている風潮を感じます。健康であることの基準は人ぞれぞれだと思うのです。90になっても、中年より高いレベルの健康を維持したいと思う人もいますよね。こういう個人個人が抱えている背景、希望などを踏まえつつ、医療技術を個人にうまく適応させていくことが今後の医療で1番大事なことだと思うのです。

高齢者の場合、乱暴な言い方をすれば、高齢=肉体的に不健康が前提になっています。肉体的にハンデがあるのですから、先の薬のガイドラインのように、健康体の人と同じ基準で薬の処方を考えると、間違いが起きます。また複数の病気を抱える患者さんも多く、飲み合わせの問題もあります。これは、高齢の人だけではなく、持病のある若い世代、メタボで過労な世代など、人それぞれ生活背景は異なります。

そもそも薬物を使う時点で、健康な人ではないのですから、患者の体の持つ力を考えて治療を行うべきです。また日頃健康に問題が無い人が風邪を引いた時は、薬の効き目だけを考えればいいですが、慢性疾患を持っている人の場合は異なります。肉体的な疾患なのか、精神疾患なのかでも変わってきます。このように、高齢者の医療対策を考えると、浮き彫りになるのが「健康とは人それぞれである」ということです。そして結局、医学の基本である「医療技術を使って、その人自身の生活の質を上げる」という原点に帰るのです。

医療技術が進歩し、今回のように薬のガイドライン~高齢者の禁忌が誰でも見られるようになると、より細かい対応が必要になります。色々な技術や方法が選べるからです。しかし技術や薬の知識について患者=素人は「生半可」です。だから、より医療従事者は高度な技術を持って説明する能力が求められるのです。それと同時に、医療にまつわる様々な情報提供を行う環境を作ることです。情報弱者を作るような不公平なことが起きてはいけません。

今後の看護師は、膨大な医療知識をしっかり持ち、患者さんの意向をやり取りの中で見出し、適切な情報提供をする、という高度な技術が要求されます。この文章だけ読むと、気持ちが重くなりますが、目の前の患者さんの生活をより良いものにしてあげよう、という気持ちさえあれば、自然にそのような方向に行くのではないでしょうか。「病人を治す」のではなく「患者さんの生活をより良いものにする」という考え方が、今最も必要なことです。既往症や持病もその人の人生の1ページと思える世の中になってほしいものです。


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