高度医療技術と説明の重要性

ope_2連休前発売の週刊文春に「名医を疑え!」という記事が、大きく組まれていました。事の発端は例の「群馬大学の腹腔鏡手術ミス多発」ですが、各大学病院、総合病院でのいろいろな高スキルレベルの手術による失敗例などが、病院ごとに見出しをつけて書かれているという大がかりなものでした。高度医療技術に対する、色々な角度からの疑問と言う興味深い記事でした。

この記事にも書かれていましたが、腹腔鏡を始め「最先端医療」というのは、その病院の売りにもなりますし、実際に受ける患者のメリットもあります。今までは、数か月の入院が必要だったがん手術が、今では日帰り、すぐ仕事が出来る~普通の人と同じ暮らしが出来るというのは、まさに医療技術の進歩のおかげです。

しかし、最先端医療技術の処置を受けることは患者からすると「いい医療が受けられる」というイメージと「あまり経験のない治療法で大丈夫なんだろうか」と言う不安の2つの思いが交錯する選択でもあります。従って、今までの治療方法の説明、そして新しく取り入れた医療技術の説明には、きちんとした時間を割かねばなりません。

患者は医療技術に関しては素人です。「今まではこうでしたが、このように進歩しました」と簡単に言われても、理解して問題点を発見するのはなかなか困難でしょう。実際、群馬の腹腔鏡は「体に負担がかからず」といった説明はされていたようですが、「カメラ手術で内臓の治療を行うのは視野が狭くなるため、治療自体は高度な技術を必要とします。」と言う部分は全く抜け落ちていたようです。こういったことは、専門家に言われてみないと患者には解りません。

また、元々知識がない上に、突然病気になり、あまり平常心のない状態でこのようなことを話されても、混乱するという患者やご家族は多いと思います。こういう場合は、看護師が仲介するというのも良いと思います。看護師が治療方法を提案したり、決めたりするわけにはいきませんので、あくまで医師の通訳と言う形ですね。実際には、他にも制約がありそうですので、看護師の裁量を少し広げてもいいのではないかと思います。

高度医療技術を用いた治療の説明をするには、看護師もきちんとした知識を持つ必要があります。そのうえで解りやすく説明をする、そして患者の疑問や、素朴な不安感を聞いておくことが大事です。この方法は、医師、看護師、患者(と家族)の3者でしっかり話し合いをするため、時間や手間が多くかかることでしょう。しかし、高度医療技術を用いた治療には、このくらいの手間は必要なことだと思うのです。

高度医療技術で心配な点は、技術自慢から来る過信です。悪意はなくとも、医師にしてみれば「自分が自信を持っているやり方」で患者を治して見せようと思う気持ちはあって当然です。しかしそれをやり続けていると、自分のやり方ですべて解決しようと思うようになり、またそういう医師を持つ病院が、その技術や医師を病院の売りにしようと思うのも解ります。

ですが、先のケースのように肝臓などの腹腔鏡手術は、まだまだ開腹手術をした方が、安全性に置いて確実であるという面もあります。「先端技術」というのは、万能のように思いがちですが、体の病気は科学の思い通りになるわけではありません。「古すぎる」と思われる方法が、患者の回復、ひいては充実した生活に戻るために適切な場合もあります。患者自身のことを考え、あらゆる治療方法を考え、ベストな方法を選択するのが優れた医師です。

しかし、この当たり前のことが崩れる理由の1つが「名医、医療機関ランキング」などです。もちろん優れた医師も多く紹介されていますし、色々な情報が開示されているのは良いことです。ですが、どうしても「こんな治療が出来る医師がいます」と言うセールス文句を入れておくことにもなります。症例が多ければ、良い病院と思われがちですが、症例数の中にはいろいろな患者さんがいます。もう治療はしなくてもいいという高齢者が無理に一部の機能改善をされ、中途半端に生きていくことになっているかもしれません。治療をするよりは、経過観察で見守った方が患者が幸せなケースも多くあるのです。

しかし、現実には「最先端技術」を信じて来る患者さんが大勢います。そして症例数が重なる、医師の経験値は上がっていき、病院の実績も上がります。その代りに専門バカな医師が増える可能性も大いにあるのです。大事なことは最先端技術を使うことではなく、患者の病状、今後の生活に合わせた治療を行うこと、そのためには、どんな治療方法があるのか、どういう治療を受けたいかということに1番長い時間をかける必要があります。

こう考えると、医師や看護師による「診断、相談専門機関」セカンドオピニオンだけを受け付けるような場所があってもいいかもしれません。これだと、色々な病院の技術や考え方を比較しながら、情報提供が出来ます。

今、この先端医療技術をウリに「医療ツーリズム」~治療体験ツアーを外国から誘致する話も出ていますが、この場合はより密なコミュニケーションが必要になります。技術や情報が多い現在、説明のプロは、絶対に必要ではないかと思うのです。


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