精神科の身体拘束について

memai先週発売された女性セブンに「精神科の入院患者の身体拘束数、保護室隔離数」の増加のグラフが出ておりました。

記事の主旨は「認知症の患者は精神科へ閉じ込めておけ?!」というようなもので、今回のテーマにしようと思っていたところ、聖マリアンナ大学「精神保健指定医20人取り消し」という大きなニュースが流れました。
精神科主体の病院医師10人程度で患者500人の病床として、この取り消し数で、現場は大丈夫なんでしょうか。患者さんが心配になります。

ところで、精神保健指定医とは、ご存知の方の多いかと思いますが、先に書いたような身体拘束の許可を出したり、保護室入院を認めたりという、いわゆる精神科の医者でしか出来ない行為をすること、つまり精神科医と呼ばれる人が該当します。普通の診療科に、あえて資格が要らないのに、精神科だけは「診療科」の医師の資格がいるんです。それだけ特殊なジャンルとも言えましょう。看護師の仕事サイトにも「精神科」と分けてあるところもありますね。そのため精神保健指定医の意味づけは「人権保護」なのだそうです。

確かに医療行為は、時として人権侵害が多く出てきますが、身体拘束はその解りやすい例ですね。治療柄、どうしても人権などプライバシーに踏み込まざるを得ないという点が、他の科との違いでしょう。しかし、そのおかげで家族療法など「病気になる環境自体の改善」を図る治療が出来る点が大きなメリットになります。ところで、そもそも精神科と言うのは、医療の中でもランク落ちする科でした。「頭の変な人」という患者のイメージ、それを診る人というイメージで、バブルの頃までは、タブーな存在と言っても良かったのです。しかし、最近急に「メンタルヘルス」は表舞台に出るようになってきましたね。「うつ病」と言う病名を知らない人の方が珍しいくらいです。そういった理由もあり、精神科医がわりと増えてきた面もありますが、1番大きな部分は、やはり「認知症の患者の増加」でしょう。

認知症の世間のイメージを聞いておりますと、さながら80年代の「檻の中の精神疾患の患者」と言う時代錯誤なものを感じてしまいます。暴力、徘徊と言った面だけが強調されすぎるのでしょうね。しかし、週刊誌の記事と安易に発行されていた指定医指定のニュースを考えますと、安易に縛りつけておけば楽、という考えやイメージは、精神科においては、まだまだ根強いのだと思います。

認知症の場合を考えて見ましょう。病気の性質上、論理的なやり取りが出来なくなります。本人は不安のどん底にいます、周囲がそれに苛立ち、戸惑い排除します。「違う」「解ってほしい」と言う何かしらの行動を起こしたくなるのが、当然ではないでしょうか。とはいえ、病気に対する世間のイメージは悪く、家族の負担は大きい、となると、解ってはいても、身近な介護者はイライラをぶつけたくなりますね。そして介護者も心身を病んでしまったりした結果、病院で縛っておくのが1番良いということになってしまっている面があります。しかし、この理屈で行くと、リハビリ全般の必要がなくなります。身体であれ精神であれ、病気のリハビリは当事者、周囲、指導医、全員が大変です。病を経た人や障害を持っている人の目標は、本人の性格を合わせて様々です。

普通の人以上のことをしようとする人、障害者として生きる人、引きこもってしまう人、どれがいいとは言えません。本人の選んだことですから。しかし、どんな人生を歩むのか、それに必要な情報や手助けがなければいけません。そこから、患者が自分の人生を作っていくのです。高齢者の場合は、人生目標が無いので、よりリハビリの必要が無いように思われます。しかし、人生目標って「子供の将来の夢」のように、ロングスパンなものなのでしょうか。「今日もお茶がおいしかった」な日々の延長で死ぬこと、は立派な目標ではないですか。

実はこのように精神科の身体拘束が多いのは、日本位なものなのです。欧州では多くの認知症患者さんは、在宅で生活をしています。「それが当たり前」だからです。現在の日本の状況、医療技術は最先端、ノーベル医学賞受賞者もいる、しかし、精神科では身体拘束が多く存在する、を説明されたら「縛るために長生きをさせるのだろうか?」と思われても仕方がありませんね。精神科の入院病棟に多くの人、大多数が1年以上の入院を強いられますが・・ということになっている理由、医者も世間も都合がいいからです。従って、多少手抜きでもいいから、と、こぞって精神保健指定医資格を取りに行ってしまうのです。

今回の事件を、うまく追求し続けると「精神科の入院」と言う日本の医療が抱える大きなテーマにぶち当たります。何かが変わるチャンスですが、これを医者や病院の問題と捉えているうちは、あまり変わらないでしょう。精神疾患も、認知症も身近にあるものです。そして都合の悪い人は檻に閉じ込めておくというのは、あまり成熟した社会のすることではありません。いくらiPS細胞を作れる学者を輩出したからと言って、日本は医療大国などと思ってはいけません。

本当に隔離が必要な、エボラ出血熱のような感染症に対する施設の必要性は、ブームのようなニュースと共に忘れられています。技術だけは優れているが、医療とは、人が生きることとはという本質的なことは、日常考えてられることもなく、「こんな技術が出来ました!難しい病気も治せます、わあい」で終わっているなんて、残念な気がしますね。


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