技術の進歩と人の気持ち

sinseijiこのたび、卵子凍結をした「健康体の女性」(44歳)が無事出産に至ったそうで、おめでとうございます。
「健康体」とわざわざ書かれているのは、これまでは、病気などの理由で卵子を保存する人が大半だったからです。

しかし、この話と同時に思うのは、やはり「高齢出産とは」ということです。「決して高齢出産を推進しているわけではありません」と、いうコメントが、こういったことには書き添えてありますよね。でも、このニュースを読んだ子供の無い40代女性は「まだ諦めなくてもいいのかも」と思いそうですよね。これが果たして、希望なのか、その逆なのかが解りません。

よく「出口を失う不妊治療」という話がありますが、それが1番解りやすい例ですね。また、よくこの欄に書いていますが、体外受精自体40数年の歴史しかないのです。つまりやっと2世代目に入ったところなんですが、医療技術は日進月歩、あっという間に、卵子凍結という技術が臨床で生かせるようになってしまいました。

人工的に子供を作ることが、まだまだ医学的に検証されていないのでは、という面がやはり心配です。またこのため「自然妊娠ではない場合は、異常が起きやすい」というような根拠のない噂も流れたりもしますよね。
技術進歩が早いと、そこに周囲の価値観がついていきにくいこともあり、偏見だけが残っているということもあるのです。

高齢出産について思うことは、やはり母体自体は歳を取るので、産後の肥立ちが悪いなどの、体力面のハンデがあります。また高齢になると、自身の親も高齢化します。現代育児に欠かせない祖父母が助っ人になってくれないどころか、介護と両立させなければならない可能性もあるのです。医療技術の進歩と、それを活かした結果、社会でうまく暮らしていけるかは、また別問題なんです。

そもそも、不妊については若い時に卵子凍結するのがいいことなのか、という問題もあります。基本的に、女性は20代辺りで子供を生むのが1番いいような気がしますが、社会に出て仕事をするとなるとそうもいきません。そんな事情があったので、今回めでたく母親になった女性も卵子凍結を選択したのでしょう。でも、この卵子凍結には、それなりの費用がかかります。本人が負担しているようですが、そういう問題ではなく、凍結できる施設がまず必要です。本来ならば、要らない施設を作る、ということになりますね。

そもそも「子供を持つ」というのは、「病気を治す」とは違い、純粋に個人の人生選択です。そんなことのために、高いお金を出して施設を作るのか?と思う人がいても不思議ではありません。しかし、女性側からみれば、「20代で産める社会環境がない、卵子凍結の選択が出来てもいいはずだ」と言い返せるとも思います。本来なら、20代で産むのが普通、という社会を作ることを考えるのが筋なのですが、どうも各種政策はそちらに行きませんね。

更に子供を持つ場合、この後に保育所待機児童問題などもあります。産んだのはいいが、仕事をしながら育てられない、となります。また、このことを含めて「誰かの子供の誕生は地域の喜び」という風潮がありません。昔であれば「あの家に産まれた」となれば、そこの子供は地域を上げて育てることが、ごく普通だったはず。

最近読んだ記事に「迷子の子供を放って逃げた」という話がありました。
この話には、きちんと理由があって、とある男性が迷子に遭遇、一応警察に通報「連れてきてください」と言われたのですが断ったのだそうです。というのは、絵面が「子供を連れる不審者」になってしまう=この状況を写真に取られ、SNSで流されたら、男性は一気に「犯罪者」に仕立てられる可能性があるからです。と、いうことを考え、まず通報だけはしておいて、その場を離れたそうです。これを責めることはあまり出来ません。実際このご時世「書かれたら終わり」ということは、ままあるからです。しかし、こういった状況で「地域で助ける子ども」や「大人の支えが子供を育てる」というのは、無理そうな気がするのです。

お子さんをお持ちの方なら、お解りでしょうが、そもそも今の学校には「名簿」がありません。筆者の子供の頃は「余計なことまで書かれた名簿(一一”)があったため、よそのクラスの子供や保護者までが覚えやすく、結果として、全員が何となく大人の目配りにさらされる、という状況だったのです。名簿がないと、子どもの友人までしか覚えにくく、全く関係のない先生の名前や存在すら知らないということになります。

「子供っていいよね」と思える社会であれば、どういう方法で子供が生まれても「最近はいろいろあるねえ」と歓迎されたでしょうが、生殖医療の進歩にどこか「もやっとしたもの」を感じるのは、「やはり子供は良い!」という社会ではないからでしょう。だからこそ、逆に卵子凍結という形で実子にこだわるようになっているのかもしれません。よその子であれ、社会で育て上げた子は、皆、社会の宝だというのが本来の姿だと思うのですが。

技術の進歩や、そこから生まれたシステムに人の感情がついていけないことは、あらゆる面で見られますね。生殖医療については、特に色々な矛盾を感じるのですが、まず、このたび世の中に出てきた、新しい命を皆で受け入れましょう。命の誕生への喜び、そこに対する周囲の責任、そういった軸を意識することが「何だかなあ」に振り回されない目下の最良策だと思うのです。


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