悩まない家族ケアのポイント~看護師とグリーフケア~

熊本震災で行方不明になっていた大学生の大和晃さんの捜索が中止となったという報道がありました。
4月16日に連絡が途絶えてから、約2週間後の出来事です。
熊本県南阿蘇村の阿蘇大橋付近を通行中に土砂崩れに巻き込まれたとみられていますが、二次災害のおそれがあるため重機や捜索隊員が入られないためと家族に伝えられたそうです。
両親は涙を浮かべ「おかえりと言いたい」と語ったそうです。
身近な人を亡くす悲しみは、心に深い傷跡を残します。今回の震災で心に傷を負った方も多いでしょう。

グリーフケアって何?

身近な人、主に家族や親しい友人との死別を経験し深い悲しみの中にいる人へのケアをグリーフケアと言います。
看護師として働いていても、病棟や外来などではそれほど使わない用語なので、「聞いたことあるけど何だっけ?」という人も多いでしょう。
ちなみに、グリーフケアの「グリーフ」とは、深い悲しみという意味です。
このグリーフケアは、残された家族などが深い悲しみから立ち直るまでそばで支援することが目的です。
このような性質を持つグリーフケアは、一部の緩和ケア病棟などを除いて、一般病棟では完全には行われていません。

愛する人を亡くしたときの悲嘆の過程

家族など親しい人を亡くしたときの気持ちは誰でも想像できるでしょう。
また、実際にそれを体験したことがある人は、言葉では言い表せない程の悲しみです。
「愛別離苦」といって仏教の教えの中にも、愛する人とお別れすることは人間が生まれてから死ぬまでの苦しみのひとつとして言われています。四苦八苦のひとつです。

具体的にどのような苦しみ、悲しみかというと、
1.思慕
2.疎外感
3.鬱的な不調
4.適応対処の努力
という4つの悲嘆があると言われています。(日本グリーフケア協会より)

亡くなった方を思い出すこと(思慕)、この悲しみを周囲にわかってもらえないと孤独を感じること(疎外感)、不安や無力感、無関心など鬱的になってしまう(鬱的な不調)といった心的反応がある一方で、何とか頑張っていかなければと思う(適応対処の努力)という現実への対処で心は揺れ動きます。
つまり、喪失感情と理性が混在している状態です。
このように愛する人を失った家族の心は、悲しみながらも現実に向き合っていこうとする気持ちが次々と押し寄せ混乱していることも少なくありません。
しかし、この心理は年月とともに変化し、少しずつ悲嘆と向き合って新たな生活へ気持ちが向くとされています。
このように悲嘆の過程が過ぎるのは約4年半の歳月が必要だという報告もありますから、何度も何度も悲嘆を経験し長い時間をかけて受容していくといえるでしょう。

看護師とグリーフケア

病棟で患者さんが亡くなったとき、家族と接する時間はあまりありません。
家族にとっても、親戚への連絡や葬儀について決めなければいけないことも多く、亡くなった直後は忙しいことも少なくありません。
そのため、看護師が遺族と関わる際には、心理的なものよりも、帰る際の恰好はどうするか、葬儀屋さんは何時頃到着しそうか、死亡診断書は何通必要かなど事務的な対応に追われがちです。
実際、エンゼルケアをはじめ様々な業務を付きっきりで行いますし、夜勤や休日勤務では人手不足の中行いますから、忙しいのも事実です。
また、患者さんが亡くなって退院したあと、家族と接する機会は滅多にありません。
つまり、一般病棟で完全なグリーフケアはできないといっていいでしょう。

しかし、一般病棟や外来でもグリーフケアに似たようなケアは求められますよね。
それは家族の予期悲嘆に対するケアです。
患者さんの病状が良くないときや重い病気が見つかったときなど、看護師として家族から相談を受ける機会はありますよね。このとき患者さんの家族は「死んじゃったらどうしよう」と考えることによって深い悲しみを感じています。涙を流して途方に暮れる家族もいらっしゃいますよね。こういった際にどう答えていいかわからない場面に遭遇したことはありませんか?

家族のケア、押さえておきたい2つのポイント


なんて言えばよかったんだろう、そう考えた経験は誰にでもあります。
しかし、このような悲嘆に対するケアで押さえておきたいポイントは2つです。

家族のケアで押さえるべきポイント
・「悲しみは本人(患者さんの家族)のもの」と理解すること。
・話せる場をオープンに、聞くことに徹すること。

上で述べたように愛する人を失った悲しみ、失うだろう悲しみを受容するには約4年半かかります。
悲しみを感じて下を向くのも、受け入れて前に進むのも体験している患者さんの家族本人です。
看護師ができることは話を聞くこと。極論ですが、そこで看護師が何と言おうと(良いことを言ってその場で心が前向きになれても、残念なことを言ってしまい上手くいかなくても)、悲嘆は本人が何度も何度も心を揺らがしながら時間をかけて少しずつ受容していくものです。
つまり、看護師の言葉よりも本人が気持ちを話しながら徐々に整理をつけていくことの方が大切です。このことを理解しておくだけで、対応は数段アップします。
「もう少し何とかなったんじゃないか」
「自分にはもっとできたんじゃないか」
こう思うから看護師も悩んでしまうんです。
それよりも
「話して楽になってくれればいい」
「悲しみを受け入れる小さなきっかけになればいい。ほんの小さくても役に立った」
と考えるようにしましょう。
向上心がなくなる?そんなことはありません。この記事を読んでいる時点で、家族のケアと真剣に向き合っているでしょうから。


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