患者が選択する自由診療

大学病院朝日新聞の「私の視点」(医師の森田麻里子氏筆)に、2017年度から専門医研修制度が、2年間の初期研修に加え、3年の研修が追加されるという話を書いておられました。

3年間の間に受ける診療科は、ある程度選択できるようです。どことなく「総合診療医」を想定したような制度ですが、そもそも臨床医に大事なのは「研修」ではなく、実地でのキャリアではなかろうか、と思うのです。この問題に対して、森田氏がかかれている疑問は大きく3つ。
1つ目は「専門医の育成が遅れてしまう」
2つ目は「女性のハンデ」
3つ目は「地域貢献が出来ないのでは?」

1つ目は一見うまく行きそうにも思えますが、最近何かと問題の多い「腹腔鏡」手術などは、経験、その前に熟練医のサポートを積むことが欠かせません。漠然と3年研修をするよりは、早めに誰かの下につき、技術を学ぶ方がずっと近道です。それをする過程で、高度な技術を駆使することには自分は向いていない、と、気づけるかもしれませんし、また高度な技術を使っていい相手とそうでない相手がいます。どんな患者が来るのかは、臨床の実体験でなくては解りません。また、それをサポートするのが多くの場合、看護師です。看護師とどう付き合っていくのか、これを読んでくださっている方の中で「うちの医師は本当に素晴らしい」と言える人がいたとすれば、おそらくチームを組み、うまく機能させることにたけた人だと思うのです。

そして3つ目の「地域医療の貢献」は一見、幅広い技術を身に付けておけば、総合診療が可能になる、と思えなくもないですが、それより「無駄に高度医療を身に付けてしまう」ことのロスがあります。要するに、この方法だと、大学病院勤務者も、町のかかりつけ医も同じような専門性を持つことになりますね。

今、総合病院と名のつく病院は、医師不足、看護師不足を補うために「紹介状持参者以外お断り、また別料金徴収」などという所が増えています。これは、風邪で総合病院、大学病院などに患者が来ることで重度疾患の患者が後回しになることを防ぐため。そして、可能な限り、普段は「かかりつけ医」にかかり、心配なことはそこで相談、大きな問題が出てきたり、かかりつけ医が診断しかねることを、規模の大きな病院で相談する、という病院を効率よく、しかも利用者に損をさせることなく、使ってもらう方法を作っている最中です。

どこに行っても同じ知識の医師というのは、この流れに完全に逆行していますよね。極端な話、かかりつけ医というのは、診断の勘が優れていれば良いとも言えます。「明らかにこれは自分の手に負えない「何か」だと解れば、大病院に救急搬送すればいいのです。(ちなみに筆者は、この流れで敗血症を免れた経験があります・・)かかりつけ医に必要なのは、むしろ「これは自分の裁量を超えている!」と判断出来る能力ではないでしょうか。これは、臨床に居て、色々な生活をしている患者さんを診ていなければ解らないこと、同じ高齢者でも、下の世代と多く同居している場合は、多少経過観察にしても、誰かが連絡をするだろう、と思いますよね。また一人暮らしの人の場合は、早い段階で大病院の療養棟で少し様子を診てもらえれば・・ということもあるわけです。これは医療技術の問題ではなく、それをどう活かすかということですよね。そして、最後に女性医師の場合は、単純にキャリアの足を引っ張ることになります。イクメン騒動、保育所待機児童ブログ・・と、女性が思うように生きていけないハードルへの不満が、どんどん出始めてきた今日、3年のロスタイムが出来るのです。

このように、医師と一口にいっても、いつでも、どこでも、誰でも同じという時代は、ほぼ昭和で終わっています。患者の側も、自由診療などを調べ、お金が出せる人は、そこへ向かっていますよね。だとすると、必要なのは、医療機関の特徴を打ち出し、患者の動線をスムーズにすること、これにより、医師や看護師の無駄な業務が減ります。そしてTPPなどを見据えると、自由診療に特化した病院というのも、出てくるかもしれません。今現在美容外科はこれに近いですよね。このことについては、賛否両論ありますが、そういった情報も表に出やすい時代です。

またこれからの時代は、医師看護師が、介護施設に軸足を置くことも増えるかもしれません。そう考えていくと、とにかく臨床体験を早めにすること、の方が大事なように思えます。そして、臨床経験をしながら、足りない部分をその都度、外で学んでくる、また医師という狭い世界から少し視野を広げるような勉強会を開く、何よりそのための時間を確保できる余裕のある医療機関にしておく、そちらの方が大事だと思うのです。

今回の制度案は高齢化社会に対応するため、というのが主な目的のようです。確かに高齢者は、いろいろな要素が絡み合って体調を崩したり、また個人差も大きいものです。そもそも、そんな高齢者医療に重点を置くべきなのか?という疑問もあるでしょう。高齢者医療については、可能な限り、治療について本人の意思表示をしてもらうなど、医療機関にかかる側の意識改革も必要になってきます。や医療とは、状況や価値観に応じて利用するもの、それに合わせ医療機関が対応していく、その状況を作るのは、現場の医師や看護師であるべきです。現場に出る前の教育より、現場で多くのことを学び、医療機関と患者の関係がきちんと築けること、これが第一であるはずです。


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