医療通訳と「オノマトペ」

foreigner何かと諸外国との外交問題が多い中、昨年末に「医療通訳は広まるか」という記事が朝日新聞に載っておりました。東京五輪の開催が近く、また最近諸外国の方が観光やビジネスで多く日本に来られるようになり、今後医療通訳の需要は強まるであろう、という時代背景を元にした記事でした。

実は私、この記事で「医療通訳」という存在を初めて知ったのです。てっきり看護師など医学部関連で学ぶものかと思っていましたら、東京外語大など文系の大学に設けられている分野なんですね。医療というより「言語」の部分が強いようです。

確かに病気は、いつでもどこでもいろいろな形で起こります。
いきなりショッピングセンターで気分が悪くなった外国人対策には、看護師ほどの専門知識があるより、言葉が通じることの方が大事です。しかし、その反面、看護師のように患者の具合や希望を聞き、医師に適切な治療をしてもらうようにしてもらう責任や能力の必要性も当然あるわけです。

このニュースを聞いてふと思い出したのは、以前NHKクローズアップ現代で放送されていた「医療現場で重要視されてきているオノマトペ」という話です。オノマトペとは一口にいうと、擬音です。

おなかが痛いというときに聞く表現「シクシク」「差し込むようなキーンというか、ドーン」「何かが詰まってぎゅ~っとする」など、医療現場での症状の説明は不謹慎ながら笑ってしまうくらい、語彙が豊富なのです。しかも地方に行くと方言がありますね。方言というのはこのような微妙な感情を伝える言葉が非常に多いのです。「えらくてねえ~」という高齢者に対して「辛いんですね」と答えるのは、どこかよそよそしく、また通じていない雰囲気を感じます。

また現実におなかや腰の痛みや違和感は「感じ方」によって、実際の病名がかなり異なることがあります。うまく意図を聞き取れず、もしくは聞き流し、要らない治療を受けて症状悪化という道に進んでしまうか、きちんと話の中身を聞きとり、病名を確定するだけでなく、なぜその病気を発症したのかという背景を掴むことが可能になるか、は、当事者にしてみれば、文字通り死活問題です。

クローズアップ現代はこういう理由により「医師もオノマトペを大事にすべきだ」という話でしたが、看護師においては、より重要であることはいうまでもありません。
医療技術は進歩していますが「患者の表現」により、必要な検査もその診断結果で注意すべき点も異なります。言葉一つで、その人の人生が大きく変わることも考えられるのです。・・と、この話の場合は、とにかく医師、看護師が「言葉に対する感受性を高めること」につきますが、医療通訳となると、また別問題です。

現代の医療通訳というのは現時点では「オノマトペ」の部分は切り捨て、あくまで記号伝達的に医療機関や患者のやり取りを通訳するものと思っておいた方が良いでしょう。そうでなくても、国によって考え方や宗教は大きく異なります。また都市部と田舎でも異なります。そういう中で通訳にニュアンスを求めるというのは酷ですし、下手をすると大きな誤りが生じる可能性があります。

実はこの記事タイトルが「医療通訳は広まるか」と疑問形になっているのは、安定してニーズがあるわけではないからです。海外からの働き手が多い街の場合は、職業として成立すると思いますが、あまり外国人のいない田舎もあります。また五輪のように一過性のイベントの場合は「その時だけ必要」=「後でだぶつき」となる可能性も大きいのです。

現実的なのは一般通訳の人が専門スキルとして何らかの方法で登録し、行ける場合は現場に直行、そうでない場合はネットを通じて通訳をしてもらうというのが1番いいように思います。

もちろん人は不安なときはリアルに側にいてほしいものですが、その部分を看護師が担うべきだと思うのです。つまり意思伝達の「理」の部分を医療通訳が行い「情」の部分を看護師が行うという方向性が現状では1番理に適っているように思います。そうなると看護師の「オノマトペ理解力」はより重要になってきますね。しかし看護師の場合は、あまり「国語力、言語力」に捉われすぎない方がいいとも思います。看護師の大きな役目、看護師にしか出来ないことは「手当」だと思うからです。

採血検査の時に無言、無表情に「ぶす」っと注射をする看護師と、「痛みはあまりないですからね」と言いながら、さりげなく腕に触ってくれる看護師では、実際に検査のストレスや痛みがかなり違います。ちょっと不安なときに、そっと撫でてくれる、その行為が患者のストレスを減らし、不安感を取り除くこれが看護師の原点だと思うのです。「患者の不安を取り除き、楽しい生活を送ってほしい」という気持ちが、オノマトペを自然に理解する力を高めるとも思うのです。

先に「あまり国語力に捉われなくても」と書きましたが、患者に対して最良の結果を残したいと思うのであれば、医療通訳の言葉を的確に理解する力は当然必要です。また人によっては看護師より医療通訳の方が向いている人もいるかもしれません。今の時代、日本語がつたない人ばかりが通う病院というのが出来ても不思議ではありません。医療通訳技術を持つ看護師が出来てもいいのではないかとも思うのです。


応援クリックして下さると励みになります!
↓↓↓↓↓↓

看護師 ブログランキングへ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

おすすめサービス一覧

常勤、非常勤、パート、派遣あらゆる看護師求人情報を無料で簡単条件検索し放題!!

お仕事をお探しの地域の最新求人情報を週2回配信する「ハローワークナース通信」
もちろん利用は無料です。

今、評判のよい看護師転職サイトってどこなの?⇒ 現役ナースがよく利用している看護師転職サイトをランキング

おすすめコーナー

ページ上部へ戻る
error: Content is protected !!