今後の終末期医療について

a1380_000937某介護施設で「死亡診断書の書きだめ」が行われていたという記事を読みました。疾病名などをあらかじめ医師に記入しておいてもらい、死亡時に立ち会った看護師が日付だけ書き込むという方法になっていたようです。
うっかり、なるほど~と言いたくなってしまいますが実際、高齢者の長期入院の末の他界となると看取りの医師があまり縁のない当直医だったりして、過去のカルテを見て疾病を類推されたりします。

かくいう私自身も、身内の死亡診断書の疾病記載欄の認知症名をアルツハイマーから血管性にされました。随分長く人生を歩んだ最後の締めくくりが、書き間違えというのも、何とも言えない感じがするものです。かと言って、もちろん診断書の書きだめは許されることではなく、人生の最期はやはり、よりしっかりと看てほしいとも思います。

看取りというのは、医師の仕事目標とも言える治療とは全く関係がないにも関わらず、家族は大きなダメージを受ける問題ですよ。このようなことが起きるのは、多くの場合、寝たきりのケースです。よく寝たきりは、日本が段違いに多いと言われたり、他国では寝たきりは無い、と言われたりするのですが、実際はどうでしょう。もちろん他国にも寝たきり=経管栄養摂取が長期間続くような状態、というのはあるようですが、多くの場合、保険=医療費の関係で少なくなってしまうようです。また宗教上の理由で、過度な治療を行わない国というのもありますね。

少し面白いのがフランスです。安楽死ではないのですが、人工栄養で人を活かすことをやや制限する法律が10年前に出来ました。その主旨は「本人が望んでいるとも限らない治療を続けるのは、人権侵害だ」というようなことです。なるほど、という考え方ではありますね。

日本の場合、生かしておかねばならないと思い、苦渋の胃ろうの選択、点滴、人工呼吸器となるのですが、フランスの場合、考え方が逆で、本人がそれと希望していないことをする方が、良くないことになるようです。こういったことを考えますと、平均寿命や寝たきり事情は、単純に国際比較をしてはいけませんね。日本にもフランス的な考え方をする人はいると思いますが、あまり一般的ではありません。特に、横並びの傾向が強い日本人の場合は「皆が寿命を延ばすためにベストを尽くしているのに」と、何とか存命する方法を選択する傾向にあるように思います。しかし、本人の意思が確認できない段階になりますと、主導権を完全に医療機関が握らざるを得なくなります。

胃ろうは多くの場合、管理する側が楽であるという理由で設置されます。また外せる可能性も十分にある措置のはずですが、現実には高齢者の場合、胃ろう=食事をする人生の終わり、となる可能性が高く、さすがにおいしく物を食べられないのは・・と言う理由で、家族が迷うというケースが多いですね。本来はフランスのように、本人が決めることのはず、1番最後でいいのが「医療機関の都合」ですが、どうも日本は「医療機関の都合」が大きくなりがちです。それを回避しようと、エンディングノートの書き方などが、大きく取り上げられたりしているのですが、お墓やエンディングノートに比べ、具体的な終末期医療の選択方法はまだまだ棚上げされたままです。

終末期医療は、実際にかかる時間が解らないという点に問題があります。胃ろうが10年持ってしまうこともあれば、1年もかからないうちに亡くなることもあります。こればかりは何とも言えませんしね。また本人の意思表示が得られない場合、どうしても看病する側の自己満足になってしまいますが、実際に看病する人の立場になれば、それもまた仕方がないと思うのです。

こう考えると、終末期医療こそ、本人や家族としっかりした話し合いが必要ですし、もっと専門の看護師が増えてもいいかもしれません。話し合ったところで、一定の結論には達しない可能性も高いですが、それでも心行くまで治療や人生の最期を話し合ったことは、当事者やその家族が後々人生を送っていくために大変重要なことだと思うのです。

人が亡くなってから、周囲の人間に精神的ケアをすることをグリーフケアといい、とても大事なことですが、その手前からサポートすることで、もっと効果が上がるのではないでしょうか。高齢化が進む中、死というのは当事者だけの問題のようであり、しかし決して割り切れない事柄であることに変わりはありません。

昔のように、家族がいて当たり前、近所同士の助け合いも当たり前であれば、死の前後は必然的にいろいろな人の手を借りることになります。しかし、今後は突然自分や他人の死に直面することも増えるでしょう。今までのように「患者の家族」を癒すだけではない時代が来ています。生き方同様、終末期も人それぞれになってきている今、人生の最期の締めくくりを、自他ともによりいいものにしていく時代もあると思うのです。冒頭の事件も、丁寧な死亡診断書を用意しておこうと思ったのかもしれない、と考えますと、やや方法が残念ですね。


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