マイナンバー導入にみる「データ共有」

mynumber前回のブログで「医療の地域差をもう少し考えにいれてもいいのではないか」と書いていた矢先、以前から言われていた、マイナンバー導入に伴い医療データを共有する方針がやや本決まりになったかのようなニュースが流れました。これまでの患者の履歴が解ることで、よりスムーズな医療行為、ひいては患者さんに負担にならない環境ができるという点はとても評価したいと思います。

しかし、気になるのは、おそらく治療歴や薬歴といういわゆる「データから数値化できるもの」だけが共有されるのではないかという点です。看護履歴などを見れば、投薬時の患者さんの反応など、人間的な部分がわかると思うのですが、今現在共有しようとしているデータは、その辺りはパスして純粋に医療行為のみを取り出した部分の共有ではないかと思うのです。

こうなると、逆に心配が出てきます。カルテは現状を100%記載しているとは限りません。薬の処方は医師が行うこと、本人がよく知らないことも多いものです。極端な副作用以外で「何となく薬が合わなかった」と言う場合、カルテには理由は記載されず「投薬●●に変更」という記述だけが残っている可能性があります。

最近の医療現場の治療は、場所によっては非常にシステマチックです。パソコンとにらめっこして患者の顔を見ない医者というのが、時々問題視されたりしていますよね。そういう形で記録されたものを共有することは、画像や数値データについては有効だと思うのですが、数字ばかりが特化し過ぎてしまうと、「人を診る」という視点が欠落してしまうのでは、という危険を感じます。

時々、雑誌などに「コレステロールの値は気にすることない!」というような記事がありますが、よほどはっきりした根拠がない限り、コレステロールなどの数値は、「その人自身の相対的な数字」また本人の元々の食生活や、今の生活を見る方が大事になります。

よく高血圧は悪みたいに言われますし、実際に血管障害になる可能性は高いです。そして血管障害は、後遺症が残ると自他共に大変な苦労をしなくてはなりません。避ける方がいいに決まっています。しかし、年齢を経てからの高血圧は、考えようによっては健康なのです。血圧とは、文字通り体に血液を送る力~圧力ですが、歳を取ると血管は狭くなりますね。そうすると、ポンプに圧力を多くかけないと、全身に血が回りにくくなります。つまり、高血圧は、高齢の人が健康を維持するための、自然な反応として起こることでもあるのです。

高血圧=害と決めつけず、このようなことを考慮に入れて個人個人の健康状態(心も含む)と照らし合わせながら、高血圧をどの程度の問題として見るのか、考えなくてはいけません。血管がある程度、健康であれば、コンスタントに数字を記述したりすることが苦手な人にとって、血圧記録をつける~それを定期に病院に持参する~降圧剤をもらう、と言うのはかなりのストレスだと思います。降圧剤の効果よりストレスの悪の方が、健康状態に悪影響を及ぼすことも考えられます。それよりは、数字はどんぶり勘定で心の平和を維持する方がいいと思うのですが。

この考え方を追求すると「長く生きるより、医学的に見たら目を潜めそうなことを散々やって死にたい」という考えを良しとするのかどうか、ということにもぶつかりますね。これは医療従事者から見ると、なかなかジレンマだと思います。どうしても医療機関の場合「命を長らえる」ことが目標になりますからね。でも安楽死など、極端な話ではなくても「物理的に生きることより、幸福に生きること」をもっと医療従事者が意識してもいいと思うんです。こういう考えがベースにある上で、データを共有し、患者さんの病状を把握して活かすのであれば、それが1番万々歳です。

「データ共有」という、ちょっと最先端な技術を入れた場合、医療に限らず、いつしか機械やシステムを使うのではなく、そちらに振り回されているというケースは、多々あります。「データ共有」を使いこなせる自分、に酔うタイプもいるのではないかとも思います。これを機にパソコンではなく、患者の顔を見る原点を心に留める必要があります。また新しいシステムや技術が出来ると、世間は「これで病気がよくなる!」と言う方向に行きがちなのですが、最先端技術にも当然デメリットはありますし、後々デメリットが判明する可能性があります。新しい技術を利用する場合には、いいことだけを見るのではなく、絶えずリスクも考慮にいれておかねばなりません。

データ共有が出来た場合、うまくすれば患者側から治療について意見が多く言えるようになる可能性があります。患者は昔の病気や出来事について、数字などは覚えておらず、しかし当時の状況を覚えていることが多いもの、そこに数字を裏付けることが出来ればより確かな記憶、証言になります。医療機関だけでなく、個人でデータを保存することも考えてもいいでしょう。「データ」はあくまで、人や病気を判断する材料のサポートです。その処理の手間が大きく省ける分「人を診る」部分が大きくなってほしいものです。


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