「MERS」で考える医療従事者の役割

mers突然出てきた病名「MERS」あまりに騒がれないので、いいのかな??と思っていたところ、このところ新聞、週刊誌などでようやく目につくようになりましたね。

今の所、韓国での患者数が2000人弱で致死率40%だとか、やや不確かな情報が流れておりますが、(致死率40%は一応厚労省のHPに載っています。医療従事者向けもありますので、参考にどうぞ。http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/mers_qa.html

そもそも韓国の患者数の分母はいくらなのか?現時点で解らないことも多いですね。上の厚労省の対処も「適切に処理します」という、お役所的な文言が出てきますしね~。

こういう情報で怖いのは、エボラ出血熱、デング熱、マダニと次々と病気のニュースが出てくる中で、情報が「オオカミ少年」になってしまうことですね。もちろんそれぞれは嘘ではないのですが、定期的に「危ない病気」のニュースが流され、それを回避できると今度は大丈夫だろうと思ってしまうのが、人の心理なのです。

この心の働きは、正常性バイヤスといって、例えば大地震のニュースなどを「まあ、とりあえずいいや、‘多分’来ないだろうし」と根拠のない自己正当化をして、自分の精神状態を安心させる人間の心の健康維持法とでもいいましょうか。しかし、少なくともデング熱とマダニの害は、発生するかもしれない状況は、去年と特に変わっていません。MERSも何だか解らないままなので、日本に入ってくる可能性は大いにあるでしょう。情報をご都合主義に正当化した所で、待っているのは悲劇かもしれません。

ということは、やはり日常から正確な情報を知る必要があります。きちんとしたデータを淡々と報道してもらうのが1番よいのですが、医学的データやデータの根拠の説明となると専門的すぎて、普通の人は読む気が失せることもあります。また、今回のMERSのように厚労省でも漠然とした情報しか出せないことも、急な感染症の場合は起きうることです。

今回の場合は、何かと取り上げられやすい韓国での発生が多いため、政治的なニュースや経済がらみなど枝葉の話も多いですよね。結局一般の人はどうしていいか解らない状況です。まずこういう感染症の報道をするときは、例えば「38度以上の熱と、咳があり、持病がある場合は病院へ行きましょう」と無条件に必ず言っておく方がいいのではないでしょうか。先に書いた「日常的な情報」とも通じることです。

こういったことは、あまり気にしない人には通じない可能性は大きいですが、しかし「こういう状況なので、こうしてください」という行動指針が明確に出ていれば、一応集団内でのものさしが出来ます。このような感染症は、致死率それ自体より、人の混乱がより大事を招きます。1人1人が「高熱が出ました、このように行動するように言われているので」と行動すれば、かなり大事は小さめになるはずです。

ここで、別の問題があります。医療関係者があまり重要視していない場合「そんなことにまで神経尖らせてくることないじゃない」と、患者さんに恥をかかせるようなことを言う医師もたまにいるのです。「みんなが騒いでいるわけではないこと=大したことじゃないこと」と思う感覚は誰にでもあります。しかし、感染症や病気については、人の認識指数とは関係のない所で、増殖したり、突然変異をしたりするものです。つまり、医療関係者というのは「最近はやっている、騒ぎになっている」という状況を、あえて天邪鬼に見ておく必要もあるのです。

今回のMERS騒動についていえば、「対岸の火事だが、いつ入ってくるか解らない、備えよう!」という論調が多いですが・・・実際に個人が取れる行動って、旅行の行き先を変更する、何か症状が出たときに病院へ行く、渡航歴がある場合は言う、という3つくらいのものですよね。要するにインフルエンザや花粉症の季節は「マスクと手洗い、うがい」というのと、そんなに変わらないわけです。

「危険な感染症が目の前に!」という言いまわしは、報道の問題であって、一般人は、状況に関わらず、病気の情報を得て必要な対処をすることしかないのですからね。こういう報道を見て「備えよう!」という威勢だけ身につき、実際にどうなったらどうすればいいの??という人はかなりいると思います。

医療従事者のすることは、病気についてヒステリックな騒ぎが起きたら、ヒステリックな部分は無視して、「患者が取るべき行動」を冷静に多く広報することです。
そして、デング熱のように忘れられていることについては「今年も‘また’デング熱の季節が来ました」と注意喚起を促す言い方で、広報をしてもいいかもしれません。つまり世間の報道の行き過ぎた部分を抑え、足りない部分をきちんと伝える努力が医療従事者の責任であると言えましょう。

ニュースについて「現代人は忘れやすい」という風潮で語られることも多いのですが、古典「方丈記」には「地震の直後は皆不要な騒ぎを起こすが、しばらくすると何もなかったかのように、そしてこれからも何もないかのようにふるまう」というような記述があります。元々、集団というのはそういう性質を持つのです。ですから、医療のプロは、絶えずクールな目で世の中の医療、病気報道を見つめ、アンバランスな報道にならないよう、気を遣うことも仕事の1つなのです。


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